ヴァイオリンの音程の良さ

2012/06/27 6:37 に 西谷国登 が投稿   [ 2012/06/27 16:20 に更新しました ]
「音程を直す秘訣」をここでは言えませんが、音程で苦しんでいる方達の為に、音程とは何ぞや。という話しをしたいと思います。

現在、レコーディング1日目に向けて最終音程(音の高低)チェックをしています。つまり音程直しをしています。ヴァイオリニストにとって最大の難関と思われているのが、音程。残念ながら、ヴァイオリンは、音程が悪いと、聴くに堪えない楽器です。他の楽器に比べて高音ですし、音程が良くないと、バレてしまいます。

ピアニスト達には、音程が悪いと=(イコール)へたと思われる。そこで私が「そりゃピアノは音程なんて考えなくて良いからね。音がどこにあるか見えるし。そもそも、それでいて音を外すピアニストいるなんているなんて信じられないぜ!」と言い返せば、「そんな、単旋律の楽器の人に言われたくないよ!楽そうで良いですね!」と言われ、「ヴァイオリンは、ボーイングの事も考えなくちゃいけないんだぞ」と言えば「なによ、総譜が無いのに音楽の何が分かる!」と言い返され「こっちはメロディーのプロだぞ!こっちの方が偉いんだ!えっへん!」、、という泥仕合な、大人げない喧嘩がよく行われ、結局音程が悪い事を認めない。しかし、心では傷ついて反省。(苦笑)

音程は、難しいです。そんな音程ですが、実は、ヴァイオリンを学ぶ方達にとって更に混乱させられるような話があります。

レッスンを受けていて、先生によってヴァイオリンの音程感覚が違う。もしくは、その日の先生の気分によって違う。という事は経験した事はありませんか?

「先週は、先生はここの音程高めに!って言ったのに、なんで今日は低めなんだ!絶対前と言ってること違う!!ぷんぷん(怒)!!」と言う経験。

音程は、心地の良い音程の幅が人によって実は違います。その証拠に以前、過去のブログやおもしろあーとでもお伝えしたように、国によって(大陸によって)決められた音程が違います。気分でも変わるモノです。プールなど行って圧が変わったときに、聞こえる音程も変わります。つまり天候によって音程も変わるモノです。そして、天候が変われば、気分が変わり、音楽家に気分屋は多いので、気分が悪くなれば、音程も悪く聞こえ始めます。

曲によっても、モーツァルトやベートーベンなどの古典派ものは、シンプルな故に、音程の悪さが分かりやすくなります。一方、現代曲などは音程が分かりにくく、実際合ってるかどうかなんて、分かりにくいです。作った本人でさえ分かっていない事もあるかもしれません。

しかし、そんな適当でアバウトだと、習う人も混乱しますし、室内楽やオーケストラの人達は音程が統一されないと困る!!

と言うことで、その為に、基準となる(日本では)442hzというのが決められ、それに合わせて今日では、沢山の演奏家、生徒さん達が練習、演奏されています。

私がアメリカに留学する前、日本で音程については沢山注意されました。アメリカに行っても、もちろん沢山注意されました。

優れた先生ほど、音程の直し方を教えてくれます。あまり良くない先生は、ただ音程の悪さを指摘するだけ。最悪な先生は、一個一個、音程を直す。というのが、日米で数々の先生に習った私の感想です。

優れた先生ほど、音程について、一々注意して直している暇があったら、音色を直したり、音楽表現等に力を入れる方が良い。他のもっと大事な基礎を忘れている。と考えられているのかもしれません。

日本人の生徒が、海外に行くと「海外では音楽(表現)の事を沢山言われる」とよく聞きます。それは、日本の学生の音程能力が高いのかもしれませんが、私は一概にそうは言えないと思います。あるアメリカの先生は「日本人の生徒で、音程が良いと思った事など一度も無い」と断言された先生もいました。

☆マーティン先生に、ある室内楽レッスンの後、私が「あの人達、少し音程悪くなかったですか?何故直さなかったのですか?」と聞いたところ「そんなの、自分たちが分かってるだろうから、そんなつまらないことはしないんだよ」と言われました。ーつまり、自分の音程感覚とは、違うから直す事も無い(by ニシタニ解釈)

☆故千香士先生が、あるコンクールのある参加者が、音程ボロボロ、でも音楽性豊かな演奏をしていて、千香士先生は「うーん、もうちょっとあいつも技術(音程)に興味を持ってくれればなぁ。まぁ、音程を取るって事はさぁ、日本人がお箸を持つのと一緒だからな」と言っていたことを思い出しました。ーつまり、音程とは才能。小さい頃から鍛えられてないと出来るモノじゃない(by ニシタニ解釈)

☆キャロルに先生は、「(あるジョークで)有名でも悪い演奏家の左手はカミナリの様だね!!ん??どういう意味かって??どこに落ちるか分からないからさ(笑)」ーつまり音程なんて、悪くても有名になれるのさ。(by ニシタニ解釈)

日米いろいろな、(上記だけではなく様々な)ヴァイオリニストの話しと、私の経験をまとめてみると!

音程も「音楽表現の一つ」だと思いました。個性の一つなのです。

音程が良いと感じるヴァイオリニストというのは、自分が好きなヴァイオリニストな可能性があります。一方で悪いと感じるヴァイオリニストは、その時の場所、気候、時間、体調、感情で、合わない可能性があります。

ある少女が、滅茶苦茶音程を外して歌っていても、その音程の悪さが、可愛く聞えてしまう。その音程の悪さがたまらない!と有名になった子もいる訳です。それも個性。

その個性を作るのは、先生であり、環境であり、性格であり、その国の風習であったりする訳です。三味線や長唄は、まさに師匠の音程で受け継がれる。ヴァイオリンも、442という基準があっても、師匠の感覚で開放弦のラ以外は音程を受け継いでいる可能性は高い訳です。

そもそも、もっと激しい言い方をすれば、その音程が正しい悪いなんて、誰が決めたのでしょうか!!ピアノの平均律を決めた人、純正律、倍音を発見した人なのでしょうか??

でも、矛盾しているかもしれませんが、最初は人間が心地よいとされる、平均的な音程、「平均律」を目指すのは、大切な事です。

私も習い始めたばかりの初期の生徒には、平均律を使います。貴方がもし、先生に音程が悪い。と注意されるなら直さなくてはなりません!何故なら、それがはじめの基盤となる音程の個性を作る第一歩なのです!!!

ですが、ある程度上達している生徒には、独自の音程の注意の仕方をします。例えば、2つ、「ファ」の「シャープ」があれば、2つの「ファ」の「シャープ」の音程の違いを指摘したり。音楽理論的に、和音の構成から高くしたり、低く調整したり。あとは、曲の雰囲気から、音程を微妙に変えたり。

コンクールや、世間一般に好まれる音程というのは、平均律&純正律です。そして、音程が良いと響きます。純正律なら、尚更響きます。なので、人々や審査員の方達を音程で感動させる為には、 純正律は、とてもとても有利です。

ですが、平均律の音程だけで評価されている人達は、必ずどこかで壁を感じるはずです!理想は、自分の「ドレミファソラシド」はこうなのだ!という独自の音程が築けるように訓練されることが大事だと私は思います!!

故田中千香士先生曰く、「100人ヴァイオリニストがいたら、100人違うドレミファソラシドが有るのです。ヴァイオリンはそういう楽器なんです」

頑張りましょう(^^)/

皆さんが明日もしあわせで有りますように!(^^)/
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